都庁ピアノで4分33秒(ジョン・ケージ)を演奏した時の話【偶然性の音楽】

話題になっていますね都庁ピアノ

Youtube見てると
都庁ピアノで演奏してみた動画が
めちゃくちゃ数多く投稿されている

 

あー、ピアノ弾ける人って良いなぁ…

そう、指を加えながら見ていたわけだけど

あるじゃないか…

ピアノが弾けない俺でも演奏できる曲が
一つだけ…ある

それが「4分33秒」という曲だ

 

 

都庁ピアノとは？

東京都庁ビル南展望台にある
ストリートピアノ

草間彌生さんという芸術家がデザインした
とても個性的なピアノ

 

利用時間は
10時00分～12時00分
14時00分～16時00分

1人あたり5分の演奏時間がもらえる

 

 

 

4分33秒とは？

「4分33秒の間、何も音を出さない」

…という曲

 

この曲が最初に演奏された時の時間が
4分33秒だっただけで、
何秒演奏するのが正しいとかはない

とにかく演奏者が何も音を出さない
その間に生まれる環境音こそが曲だという作品

 

奇才・ジョン=ケージの名作

俺がこの曲を初めて知ったのは高校の授業だった

現代音楽の奇才・ジョン=ケージをテーマに
彼のことを90分間学ぶという授業だった

 

俺は音楽のことはよく分からないけど
彼の奇抜なスタイルには心を打たれた

ピアノと言えば普通は指で弾くものだが
ジョン・ケージは腕で弾いてたりしていた

「何だこれは？」

次々に繰り出される常識破りの音楽
音楽に疎い自分の心にも響く謎の中毒性があった

 

偶然性の音楽

そして、彼の代表作の一つとして
「4分33秒」の演奏映像を視聴した

 

4分33秒間、
ずーっとピアノの前で座っているだけ
鍵盤を押そうともせず、ひたすら静寂

その間、どよめく観客
服と服がこすれる音、空気の流れる音

 

二度と再現できない偶然性の音楽

 

高校の音楽の授業で
ジョン・ケージを学んだ時

「ああ、これは哲学なんだ」

と、俺は解釈した

ジョン・ケージの曲は
音楽でありながら哲学でもある

だから、音楽に疎い俺に響いたんだと思う
（色々、考える癖を持っているから）

 

 

演奏してみて思ったこと

都庁ピアノみたいなストリートピアノってさ
そりゃ腕自慢が集まるわけですよ

演奏順番待ちしている時も
俺の前で演奏する方々は
ピアノが上手い人たちばかりだった

 

そんな中、ピアノ演奏なんてできない俺が
4分33秒を演奏したら…どうなるのか

 

 

どうなるか分からない
興味や好奇心を含めて
様々な感情が不思議な感じで交わっていた

 

聴き手の期待を裏切る音楽

4分33秒ってさ

聴く側からしたら
「期待を裏切る音楽」なんだよね

 

だってそうでしょ？

ストリートピアノに人が並んでいて
俺以外の人は皆、良い曲をいい感じに弾いている

それを聴いている側からしたら
「次はどんな曲を聴かせてくれるんだろう？」
と、期待感が高まっていくものだ

 

無料で聴ける
ストリートピアノならまだいいが
お金を払って聞きに来る演奏会とかなら
なおさら、観客の期待を裏切ることになる

 

だが、期待を裏切ることで
独特の空気感と偶然性の音楽が生まれる

自分より先に演奏した人が
良い曲を奏でれば奏でるほど
音楽演奏経験の無い俺にとっては
大きなプレッシャーとしてのしかかってくる

 

しかし

期待感からのギャップが
「毒」となり「スパイス」になり
『印象的』なものへと昇華しうる

 

全力で期待を裏切ることで印象に残る

 

気持ちで負けるな！

たとえネガティヴな反応をされようとも
強い気持ちを持て！

そう言い聞かせて、
俺は都庁ピアノの席へと座った

 

研ぎ澄まされる聴覚、修行

スマホアプリで
4：33後にバイブレーションを鳴らすようにセット

 

実際に4分33秒を演奏してみると
中々メンタルに来る…

周囲にいる100人弱の人々の
期待を裏切る行為をしているわけだから当然だ

 

4分33秒演奏中は感覚が研ぎ澄まされた

4分33秒とは
演奏者にっとては精神修行に近いのかもしれない

 

日常生活で気にならない些細な音すらも
とても良く聞こえる…

中にはヤジっぽい言葉も飛んできたりする
この演奏の意図を解説しだす人もいる

それでいい

それら全て含めて
「都庁ピアノで4分33秒演奏」してみた結果
生まれた偶然性の音楽なのだから

 

 

 

動画上では撮影ミスで
序盤10秒間ほど削られてしまったが
一応、4分33秒、演奏仕切ることに成功した

 

 

お友達ができたかも？

都庁ピアノを4分33秒を演奏した後
ちょっとした嬉しいことがあった

なんと、俺より前に演奏していた
とてもピアノが上手い人から話しかけられたので

しかも、写真撮影までねだられて…
「コラボしませんか？」とまで言ってもらえた！

 

俺から見て
その人の演奏は天才よりは奇才寄りの
とても好みな演奏をしていた人だったので
素直に嬉しかった

その場でコラボしたい気持ち、
メチャクチャあったけど
ちょっとした事情で断念…

後日、またコラボに誘ってくれたら
その時は全力で一緒になにかしたいな